【モンゴル放浪メモ】          ◆遊牧民がよく飲むお酒 BEST 3

1 アイラグ(馬乳酒)    馬の乳を根気よくかき混ぜて発酵させたお酒。色は白く、軽い酸味がある。夏から秋にかけてしか作らない。
2 シミンアルヒ    アルコール発酵させた乳を蒸留して造るお酒。できたての温かいうちに飲むとオイシイ。色は透明で、アイラグより上品な味。
3 アルヒ    モンゴルのウォッカ。アルコール度数はかなり高く、味は接着剤に似ている。モンゴルでは酒席に必ず出てくるが、慣れない人がたくさん飲むと、ヒドイ二日酔いになる。





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青空が広がる草原にゲル3つ。誰もがイメージするモンゴルの風景だ。




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舗装されてはいないが、きれいなザム(道)。こんな道ばっかじゃないんだけどね。



モンゴルの首都ウランバートルから、南に向かう。
第3話   「おいで、おいで」


ザムを走っていると、遊牧民の暮らすゲルの近くを通ることがある。ゲルに近づくと中から遊牧民があわてて出てきて、こちらに向かって「来て、来て」と手を振っているのが見えた。

「何かあったんじゃないの?」

と運転手に聞くと、

「別に何もない」

と勢いよく通り過ぎてしまった。しばらくして別のゲルの近くを通った時も、遊牧民があわてて出てきて手を振っている。気になった僕は、運転手に車を近づけるように指示する。

遊牧民に、

「サェンバェノー、サイハンゾスッチィノー(こんにちは、良い夏をお過ごしですか?)」

と軽くあいさつ。むこうもあいさつしてきて、

「まぁ、お茶でも飲んでいきませんか?」

と特にあわてた様子もない。「あれっ? おかしいな」と思いながらも、デコボコ道にちょっと疲れていたので、ゲルの中でお茶をごちそうになることにした。

スーテーツァイ(乳茶)を飲みながら、「どこから来たのか、どこへ行くのか、結婚してるのか、家族は何人だ」など遊牧民と、しばし雑談。

和やかな雰囲気で話が進んでいくと、「小麦粉がないんだけど持ってないか。あれば、売ってくれないか。街に行くなら乗せてってくれないか。アイラグ(馬乳酒)を買わないか」などといろいろ要求してきた。

「ん!?」

と何かに気づいた僕。ゲルの外にあわてて出てきて手を振っていたのは、日本の海の家でも見かける「おいで、おいで」のジェスチャーだったのだ。

ゲルの近くを通る車は、良い商売相手なのである。それを知らなかった僕は、まんまと引っ掛かって近づいてしまった。

「やられた、それが狙いだったか」

とその時、ようやく気づいたが時すでに遅し。「お茶もごちそうになったし、どうしようかな」と考えていると、運転手が、

「食料の余分はないし、街にもしばらく戻らない。座る席もない」

ときっぱり断ってくれた。頼もしい人を雇ったものだと思ったのもつかの間、

「でも、アイラグは買おう」

とまんまと10リットルも買ってしまい、嬉しそうな酒飲みの顔を浮かべる運転手であった。

運転手にまさかの二連敗。


by 清水哲朗

つづく



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