
[写真クリックで拡大+撮影データ] |
| 砂にはまり、スタックしてしまった。この写真を1枚撮ったところで、「早く手伝え」と運転手に怒られた。 |

[写真クリックで拡大+撮影データ] |
| 砂漠といえば、やっぱこれでしょ。『月の砂漠』ではないが、夕焼けとラクダ。 |
|
|
 |
| ゴビ砂漠はモンゴル国土の約3割の広さがある |
|
第5話 邪魔しないでくれよぉ
首都ウランバートルから南へ約550Km、さらに西へ約300Km、車を走らせること5日間で、ようやくゴビ砂漠へたどり着いた僕は、とりあえずゴビ砂漠の砂に触れたくて車を降りてみた。
デコボコ道をずーっと走っていたせいか、オシリに揺れの余韻が残っていて、なんとなくまだ車に揺られている気がする。ゴビの砂を手にとってみると、サラサラしていて気持ち良かった。
ここの景色は素晴らしく、撮りたいと思える構図が次々浮かんでくる。熱くなった砂に腹ばいになって無我夢中でシャッターを切る。写真家には全てを忘れられる楽しいひとときである。
しかし、さっきから白いアブのような虫がたくさん、体にとまっては飛んでいくので、ちょっと気になる。
「邪魔しないでくれよぉ」
と独り言。
虫がとまった場所は痛みはないが、なんとなく赤らんでいる。特に気にもせず撮影していると、突然わき腹に痛みが走り、
「おぅぅ…っ!!」
と思わず絞り出すような、なさけない声を出してしまった。わき腹を見ると、1cmぐらいの黒い虫が噛みついていた。
運転手に助けを求めると、無情にもそいつの胴体をハサミで切った。そいつは首チョンパになりながらも僕の体から離れようとしない。仕方がないので、噛まれたまま痛みをこらえて、
「何の虫か」
と運転手に聞くと、
「ハチグ」
と答えた。日本名で「ダニ」である。わき腹を見るとプクッと少し腫れていた。こんなにでかいダニは今まで見たことがない。
運転手によると、このダニは体の中に入ってタマゴを産むつもりだったらしい。こんな奴に寄生されたのではタマラナイ。また、アゴが強く、噛まれた時に無理やり取ろうとすると、体の肉まで引きちぎられてしまうとのこと。たぶん、さっき腹這いになった時、体についたのだろう。
足下の砂をよく見ると、複数のダニが先を競って登ってこようとしていたので、あわてて払いのける。危ないところであった。
日が沈み、撮影が終了したところで、今度は体中がかゆくなってきた。蚊がいるわけでもないのに、赤く膨らんでいるのでおかしいなと思ったら、さっき白いアブがとまって赤らんでいたところが、大きく腫れていた。しかも、肌の露出しているところは全て…。
僕は上半身ハダカで、短パン、サンダルで撮影していたものだから、トンデモナイことになっている。運転手も似たようにヤラレていた。
「かい〜っ、かい〜っ、ボリボリ」
とかきむしるのは夜中まで続き、そのまま眠れない夜を迎えたのであった。
|