【モンゴル放浪メモ】               ◆ゴビ砂漠
ゴビ砂漠はメチャクチャ広い。東西に約2500Km、南北に約1500Kmもあり、モンゴル国土のほぼ3割を占めている。「ゴビ」は、まだらに草が生えている土地を指し、砂山ばっかりの砂漠とは違って短い草が生えていたりする。でも、砂漠は砂漠。太陽光が砂に反射して眩しく、立っているだけで汗が流れ、のどが渇いてくる。昼間は40度を優に超えるので、だんだん思考能力がなくなってくる。なお、モンゴルには「ゴビ」という名がつく県が4つあるが、今回来たのは一番南のウムヌゴビ県。





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砂にはまり、スタックしてしまった。この写真を1枚撮ったところで、「早く手伝え」と運転手に怒られた。







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砂漠といえば、やっぱこれでしょ。『月の砂漠』ではないが、夕焼けとラクダ。






ゴビ砂漠はモンゴル国土の約3割の広さがある
第5話   邪魔しないでくれよぉ


首都ウランバートルから南へ約550Km、さらに西へ約300Km、車を走らせること5日間で、ようやくゴビ砂漠へたどり着いた僕は、とりあえずゴビ砂漠の砂に触れたくて車を降りてみた。

デコボコ道をずーっと走っていたせいか、オシリに揺れの余韻が残っていて、なんとなくまだ車に揺られている気がする。ゴビの砂を手にとってみると、サラサラしていて気持ち良かった。

ここの景色は素晴らしく、撮りたいと思える構図が次々浮かんでくる。熱くなった砂に腹ばいになって無我夢中でシャッターを切る。写真家には全てを忘れられる楽しいひとときである。

しかし、さっきから白いアブのような虫がたくさん、体にとまっては飛んでいくので、ちょっと気になる。

「邪魔しないでくれよぉ」

と独り言。

虫がとまった場所は痛みはないが、なんとなく赤らんでいる。特に気にもせず撮影していると、突然わき腹に痛みが走り、

「おぅぅ…っ!!」

と思わず絞り出すような、なさけない声を出してしまった。わき腹を見ると、1cmぐらいの黒い虫が噛みついていた。

運転手に助けを求めると、無情にもそいつの胴体をハサミで切った。そいつは首チョンパになりながらも僕の体から離れようとしない。仕方がないので、噛まれたまま痛みをこらえて、

「何の虫か」

と運転手に聞くと、

「ハチグ」

と答えた。日本名で「ダニ」である。わき腹を見るとプクッと少し腫れていた。こんなにでかいダニは今まで見たことがない。

運転手によると、このダニは体の中に入ってタマゴを産むつもりだったらしい。こんな奴に寄生されたのではタマラナイ。また、アゴが強く、噛まれた時に無理やり取ろうとすると、体の肉まで引きちぎられてしまうとのこと。たぶん、さっき腹這いになった時、体についたのだろう。

足下の砂をよく見ると、複数のダニが先を競って登ってこようとしていたので、あわてて払いのける。危ないところであった。

日が沈み、撮影が終了したところで、今度は体中がかゆくなってきた。蚊がいるわけでもないのに、赤く膨らんでいるのでおかしいなと思ったら、さっき白いアブがとまって赤らんでいたところが、大きく腫れていた。しかも、肌の露出しているところは全て…。

僕は上半身ハダカで、短パン、サンダルで撮影していたものだから、トンデモナイことになっている。運転手も似たようにヤラレていた。

「かい〜っ、かい〜っ、ボリボリ」

とかきむしるのは夜中まで続き、そのまま眠れない夜を迎えたのであった。


by 清水哲朗

つづく



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