【モンゴル放浪メモ】               ◆ラクダに乗ろう!
2m以上もあるラクダに乗るには、よじ登るか、ラクダに『伏せ』をしてもらわなければならない。そして、コブとコブの間に座り、手綱でコントロールする。初心者の僕は『伏せ』状態のラクダに乗ることにしたが、まだ半分しか乗っていないところでラクダが急に立ち上がった。人が乗ることを嫌がったらしい。「おおっ」と驚きつつも、コブにしがみついて落ちないようにする僕。その姿はまるで馬にしがみつく猿のようだった。ドルジさんが笑っていたので、こちらも笑顔を返そうと思ったが、半分引きつってしまった。格好悪いことこの上なく、下を向き、ひとり赤面。




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モンゴルの夕日は、あまりにもドラマチックで感動的。見ているのが僕だけなんて、申し訳ないようだった。









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モンゴルへ行ったなら、必ず夜空を見上げたい。日本で見るより星の数が数倍多いし、人工衛星が動くのを肉眼で確認できる。









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山中を歩いていると、馬の死体が転がっていた。ドルジさんの話では、だいぶ前にユキヒョウが殺して食べたらしい。
第8話   両手いっぱいのウンチ


ラクダでの旅が実現し、喜びのダンスもそこそこに、僕は準備にかからなければならなかった。とりあえず、三脚を含めたカメラ機材はもちろんのこと、テント、寝袋、調理用品などのキャンプグッズ、そして食料、水を用意してみたが、これだけでも結構な量になってしまった。

車を置いていくからには、荷物を最小限にするのが筋である。欲張りな僕は、

「あれも必要だし、これもいるな、う〜ん」

と悩んでしまった。そこで、ラクダがどのくらいの荷物を背負えるか、ドルジさんに聞いてみることに。

「ドルジさ〜ん。ラクダって、何キロぐらい積めるんですか」

「バランスよく積めば、だいたい200キロぐらいかな」

れれっ!? 200キロぐらいかななんて、さらっと言われちゃったよ。なんだよ、悩むことないじゃん。よく見りゃ、ドルジさんなんて家の布団をそのまま積んじゃってるみたいだ。

「そっかぁ、必要なものは、やっぱり必要なんだよね。この辺が、大陸的なモノの考え方なのかな。よし、全部持っていこう」

と自分を慰めて、出発することにした。

ラクダには手綱は用意してあるものの、鞍がなく、フェルト布一枚を敷いた裸ラクダ状態でまたがるしかなかった。何となく座りが悪くケツが痛いが、文句は言っていられない。

ドルジさんと僕がそれぞれ一人で乗り、それに荷物を背負うラクダの計3頭で山に向かった。後からドルジさんの飼い犬もついてきた。

乗ってみるとラクダのスピードは思いのほか、ゆっくりだった。というか、降りて歩いた方が速いようだ。まっすぐ歩いてくれるものの、立ち止まって草を食べたりして、なかなか進んでくれない。これだと1時間に4kmがいいとこである。

しかも、歩きながら反芻してゲップ、おならにオシッコ、ウンチをするので、乗ってる方は臭くてタマンナイ。

「お前の腸は一体どうなってるんだ」

さすがに『連続汚いもの攻撃』をくらっている僕は半ギレ状態である。ムチでたたくと「プッ、プッ、プリッ」とおならをして、勢いよく走り出した。

アブミがなく、足をブラーンブラーンさせたまま、またがりっぱなしの30分後、股関節が痛み出した。

「ドルジさん、ちょっと待って。タンマ、タンマ」

ラクダの胴体回りがあまりにデカいので、体の硬い僕は股関節が外れそうになってしまった。おまけにラクダの背中は角材のようにとがっているので、股をおっぴろげの状態で長時間乗るのは危険である。世の中には好きでそういうことをやる人もいるらしいが、僕にはそんな趣味はない。いや〜ん。

痛がる僕に、ドルジさんは持っていたロープで簡易アブミを作ってくれた。

「これで、もう大丈夫でしょ」

いい人だ、ドルジさんは。

その後、しばらく行ったところを僕らのベースキャンプとし、今日からここを拠点にユキヒョウを探すことにした。

ラクダから荷物を下ろし、まずはお茶でも飲もうと薪を集めに行くが、木のないここではなかなか見つからない。ドルジさんは遠くで黙々と、ラクダの乾燥したウンチを拾っている。ここではこれがよく燃えるそうだ。

僕もズタ袋を持って、ウンチを集めることにした。両手いっぱいラクダのウンチを抱えた僕はなぜか満足し、ほほ笑んでいた。


by 清水哲朗

つづく



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