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| 自慢のバイクに乗った写真を撮ってくれと言った遊牧民。インスタントカメラで撮った写真を渡したら、「もうできたのか」と驚いていた。 |

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| 遊牧民が案内してくれた壁画。まだ、近くに住む人にしか知られていないそうだ。モンゴルには歴史的に珍しいものが、手付かずの状態でゴロゴロしている。 |

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| 病気で息絶えた馬の肉をむさぼる遊牧民の犬。目つきは飼い犬のそれではなく、眼光鋭い野生の目つきであった。 |

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| ウランバートルへ戻る途中、草原にUFOが現れた。な〜んて、実は強烈な西日を浴びたプルゴンの影。窓もコックピットのように映し出され、なかなかの出来だ。 |

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| ようやくウランバートルへ戻ってくると、街は銀世界になっていた。モンゴルの厳しい冬が始まるのだ。友人のアパートのベランダから撮影。 |
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第20話 ついに帰ってきた
旅の当初は、ケツが痛いだのと何だのと文句を言っていた僕も、今ではプルゴンに乗ってデコボコ道を移動したって、痛くも痒くもなくない。回転レバーが折れてなくなった手動式の窓を、対向車の砂煙が入る前に閉めるのも余裕だ。
少し涼しくなった風が、心地いい。途中、バイクに乗った遊牧民に道を聞いた。
「ウランバートルへ行く道はどこですか」
「いい秋を過ごしているかい。ウランバートルなら、あっちだよ。この近くの岩山に昔の人が描いた絵があるから、時間があるなら案内するよ。それから、後でバイクにまたがった俺の写真を撮ってくれないか」
「えっ、いい秋を…ですか」
心の中で聞き返してしまったが、彼のバイクに先導されて、僕らは岩山まで行ってみた。
岩には確かに野生動物やヘビ、家畜などが描かれていた。一つの岩だけではなく、そこいら中の岩すべてに絵は描かれている。相当な数の絵が残っているが、この絵のことはあまり知られていないという。知っているのは、この辺りに住む少しの人だけらしい。
何年か前に家畜を連れてこの辺りに来た時、たまたま登ったこの岩山に絵が描かれているのを見つけたのだそうだ。歴史的に貴重なものを間近で見ることができ、写真に収められたのはとてもラッキーだった。
興味深く見ていたら、テレビやラジオなどが描かれた岩があった。
「何だ、こりゃ」
「はは。それは、子供たちが真似して岩に描いたんだよ」
一瞬、唖然としたが、この壁画がどんなに貴重なものだとしても、遊牧民にはどうでもいいことなのだろう。ここは彼ら遊牧民の場所だし、子供たちの遊び場かもしれない。
僕にとやかく言う資格はない。それに、もしかしたらあのテレビやラジオの絵も、やがて貴重な壁画になる可能性だってある。
バイクの遊牧民との別れ際、約束の写真を撮ってあげた。一眼レフカメラとインスタントカメラの両方で撮影し、彼にはインスタントカメラで撮った写真をプレゼントした。
「もうできたのか」
と驚いた彼は、僕に礼を言うと、大事そうに写真をデールの中にしまった。
「うちのゲルに寄っていくかい」
「いや、今回は時間がないんだ」
「そうか。じゃぁ、またモンゴルへ来たら是非、うちのゲルに寄ってくれ。この辺りに住んでるから。気をつけて帰りな」
彼と別れた後、しばらく車窓を眺めていた。遊牧民の飼い犬が息絶えた馬を食べているのが見える。目つきがとても鋭かった。
「飼い犬も野生に戻るときがあるんだな」
道がコンクリートになり、車の揺れが少なくなった頃、
「もう道に迷うことはないよ。この道はウランバートルまで続いているんだ」
運転手はそう言って満面の笑みを浮かべた。
夕方になり、カーブを曲がったところで、ウランバートルの街が見えてきた。
「ついに帰ってきたか」
思わず運転手と握手をしてしまった。街の辺りが白っぽく見える。
「あれっ、雪だ。雪が降ったんだ」
ラジオをつけると、ウランバートルでは昨日、雪が降ったと言っていた。日本の四季とは違い、この国では夏が終わると、あっという間に冬が来てしまうようだ。厳しい季節の到来である。
「また、この国へ来よう。ドルジさんと再び山へ入って、絶対にユキヒョウを撮影するんだ。マイラクダにも乗らなきゃいけないし…」
僕にカルチャーショックを与えた国、モンゴル。不思議な魅力があるこの国に、僕は必ず戻ってくるだろう。
おわり
by 清水哲朗
※次週からは「番外編」をお届けします。どうぞお楽しみに!
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