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道に詳しいご主人がいたゴアンズ(食堂)の横に乾してあったデール。モンゴリアンブルーの空がよく似合っていた。
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地図には載っていない凍った湖のようなものが、目の前に突如出現した。「怖い怖い」と言いながら運転手は氷の上を走っていたが、「でも、こんな湖あったっけ?」と途中で車を停め、方向を確認した。
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ゴビには雪がなかった。ゴルバンサイハン国立公園を通り抜けたのだが、乾燥した大地は夏のゴビと変わらないので驚いてしまった。ゴビ特有の植物、ザクもいつもと同じだった。モンゴルの北と南では、風景がまったく違う。
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ドルジ仙人が住んでいる村の中心部にロバがいた。モンゴルには野生のロバがいるが、これは家畜のロバである。家畜のロバは、まだ数回しかない見たことがない。とても臆病な家畜で、カメラを向けると逃げてしまうため、撮影するのに苦労した。
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第3話 ほんとに冬ですか!?
骨の写真を撮り終え、僕はなんだか調子が出てきた。
「そうだ、日本から持ってきたテープでも聴こうかな」
旅に音楽は欠かせない。その場所、その瞬間に聴いた曲が、そのまま思い出となる。
いつもはウランバートルで購入したモンゴルの流行歌テープを擦り切れるぐらい繰り返し聴いている。基本的には現地の歌が目の前の風景に合うので、それでも良いのだが、歌詞がよくわからないせいか途中で飽きてしまうこともある。
今回もそうなりそうな気がしたので、日本から「お気に入り」を数本持ってきていた。
「よし、エリック・クラプトンでも聴いて、ノリノリで行こうかな」
テープを入れると、音のないまま数回転した。僕は笑顔のまま曲がかかるのを待っていたが、曲が流れると徐々に渋い顔になってしまった。どことなくアジアチックな曲が流れ始めたからである。
「あれっ、こんなのあったかな。いや、別人だな、これっ。誰だっけ」
よくよく聴いてみると、クラプトンではなく、ディック・リーであった。日本を出発する当日に、テープのケースの背表紙を見てあわてて入れてきたから、確認などしてこなかったのだ。
「あぁ、ショックだ。僕のクラプトンが……」
ディック・リーは嫌いじゃないけど、アジア、アジアしちゃうから、今回は勘弁してよ。
不安に思い、すぐさまテープを取り出し、別のクラプトンをかけてみた。今度は間違いなかった。
「あぶねぇ〜」
たまたま2本持ってきていたので良かったのだが、かなり後悔するところだった。
その後、僕と運転手はクラプトンの“ノリノリ”ギターサウンドに合わせて、体を前後上下に振りながら先を目指した。
ウランバートルから425キロ離れたところにあるウブルハンガイ県のアルバイヘールまで来ると、雪は少なくなってきた。気温も少し暖かいような気がする。とは言っても、まだまだ氷点下なのは変わらない。
ここからは、人も住んでいないようなザムを通らねばならない。ザムが悪くなることは容易に想像できたので、僕らはとりあえず道端のゴアンズ(食堂)に寄ることにした。
「腹が減ってはなんとか・・・だからね」
野菜スープを2皿注文し、それができるまでの間、ゴアンズのご主人にこれからの道を聞いた。ご主人は運転手が喜ぶほど、目的地までの距離、時間、場所の特徴などを詳しく教えてくれた。なんでそんなに詳しいのか尋ねてみると、元トラック運転手だったらしい。こういう人がいると、モンゴルを安心して旅することができる。
1時間後、スープが出てきた。アツアツでとても美味しかった。
再び車に乗り込むと、予想通り、ちょっと走らせただけでザムはデコボコになった。車外にあった雪もまったくなくなり、車内に砂埃が充満した。
「ほんとに冬ですか、ここは」
と思わず運転手に愚痴ってしまった。さっきまでの埃なしの快適ドライブはどこへやら、喉がやられるほどの激しい砂埃だ。
「なんなんだ、この国は。暑かったり、寒かったり。雪があったり、なかったり。プンプン」
そして、極めつけはその先にあるゴビの国立公園。気温がいつもよりちょっと低いだけで、乾いた大地は何も変わらないのだ。草は乾燥しきっているし、地面がひび割れているところもあった。ラクダもいる。夏と違うのは、あの忌々しい巨大ダニがいないことぐらいだろうか。
「これなら、ドルジ仙人のところの家畜も平気かな?」
翌日の夕方、あのゴアンズから南に約400キロ走って、ようやくドルジ仙人の住む村へ着いた。でも、ドルジ仙人のゲルは、ここからまだ50キロも離れたところにあるのだ。先は長いのぉ。
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