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モンゴルにも、こんなに綺麗な風景があったなんて! 暑さと嬉しさのあまり、裸足になって水の中に足を入れたが、沼のようなヌルヌルの感触とドブ臭さには閉口した。写真を見ただけでは「まぁ、綺麗な風景!」だけで終わって、とてもそんな状況は想像できないだろう。
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目の前に、今まで見たこともないような「花の群落」が広がっていた。まばらに草が生えているゴビの風景しか知らなかった僕は、モンゴルの新たな一面を見る思いだった。
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ヤナギランも群生していた。多種多様な花が咲き乱れるここは、本当にモンゴルなのだろうか。
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とにかく花がいっぱい! 名前も知らない花が多いが、「美しいものは美しい」とシャッターを切り続けた。
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フロントガラスに花を束ねて
「ふぅ〜。やっぱ、モンゴルは広いなぁ!」
地図を見ていたら、ため息が出てきた。
前にも書いたが、モンゴルの国土面積は日本の約4倍もある。首都ウランバートルからドルジ仙人のいる南ゴビを旅しただけでも、その広さは実感できたが、北の地方も気になってしまった。モンゴルの全てを知らずして、ユキヒョウの撮影ができるわけがない。
「そうだ、そうだ。他の土地も見てみんしゃい」(誰の声だ?)
というわけで、ユキヒョウ捜索は、ちょっとの間お預けにして、次の旅はウランバートルから北へ向かうことにしてみた。まさか、南側と同じような土地があるわけではないだろう。地図で見ても川や湖があるし、潤っていそうな気がする。
「国土面積がこんなに広いんだから、厳しい土地ばかりではないはずだよ、きっと。南とは違う、素晴らしいところを見つけに行こう。お〜っ!」
プルゴンをチャーターし、食料を適当に買い込んで日の出とともに出発した。初めてのところへ向かうという緊張感もあって、僕はしばらくの間、前を見て黙っていた。期待や不安が入り混じっていたのだ。
僕を気遣ってくれたのか、静かなのが嫌なのか、今回の運転手バットスフが、煙草に火をつけながらモンゴルの流行り歌のテープを入れた。ちっぽけなスピーカーから僕の好きなロックグループ「エレル・ホルド」の曲が流れ出す。
僕は運転手に向かって、「いいね」と親指を立ててウィンクした。このジェスチャーはモンゴル人がよくやるので、いつか“やってやろう”と前から考えていたのだ。
運転手と2人で、上下に頭を振りながら先を目指した。“ノリ”のいい運転手だと、旅も楽しい。窓の外には、アネハヅルの親子が歩いていた。
2時間ぐらい走ると、小さな湖らしきものが見えてきた。青空と雲と湖がおりなす風景がなんとも言えない。とりあえず車を降りて撮影することにした。
天気が良いので、裸足になって水に入ってみた。すると、足元が沼のようにヌルヌルしてどうにも気持ち悪いではないか。おまけにドブみたいな臭いまでしている。
「入らなきゃよかったよ。くせーっ。まぁ、写真的には素晴らしいから、しょうがないか」
運転手が車の中からこちらを見て、ニヤついていた。
車を少し進めると、今まで見たこともないような風景に出くわした。「花の群落」である。驚くようなことではないのかもしれないが、モンゴルで花の群落を見るのが初めてだった僕は、感動してしまった。
「うわ〜っ、スンゴイネ。こんな咲いてんだ、花が。南へ行ったときは“群落”なんて見たことなかったもんね。背の低い花が数本、あったぐらいだったし。いいぞ、いいぞ、北は」
白やピンク、黄色、紫など、色とりどりの花がいたるところに咲いている。僕は興奮し、運転手があきれるほどたくさん写真を撮ってしまった。
しかし、花の群落はここだけではなかった。先へ移動してもまだまだあり、その度に車を停めて撮影した。モンゴルの南部では、とても想像できないような素晴らしい風景である。
今回、北に向かったのは正解だったかもしれない。なんだか、モンゴルがさらに好きになれそうな風景ばかりだ。これから先、どんな出逢いがあるのか楽しみである。
僕が夢中で撮影しているのを、あきれたように見ていた運転手だったが、いつのまにかフロントガラスのところに何種類かの花を束ねて置いていた。今回は、幸先が良いせいか、気持ちに“ゆとり”のある旅ができそうである。
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