●流れ星を見上げて…
11月19日、“しし座流星群”を見るために夜更かしした日本人は多かったようである。日本では“流れ星”に願い事をするとかなうと言われているので、僕も見ると嬉しかったりするのだが、遠く離れたモンゴルでは全く違う意味で捉えられている。僕がゴビにいたとき、星空を見上げ、流れ星を見つけて喜んでいると、一緒にいたモンゴル人が浮かない顔をしていた。理由を聞くと、モンゴルでは“人が亡くなった”ときに星が流れると言い伝えられているので“悲しい”とのこと。とすると、しし座流星群のような流れ星を見たら、いったいどう感じてしまうのだろうか。あぁ、世界人類が平和でありますように。

モンゴルの男の料理


今回、旅の後半で何度か出てきたタルバガンの“ボートク”。これは、まさに遊牧民の男の料理である。味付けも大雑把に塩を振ったりするだけで、特にこだわりもなさそうだ。実際に食してみると、塩味がきつく、かなり脂ギッシュな(?)肉料理だが、臭みはなくて美味しかった。ただ、第19話で書いたように、運転手のバットスフと何切れか食べたところ、食後はかなり胃にきた。そして、ウランバートルへの帰り道、僕らは腹をくだしてしまい、それから1週間近くも激しい下痢と戦う羽目になったのである。別に体に悪い肉ではないのだろうけど、ふだん食べ慣れていない肉だし、脂が強いせいで、僕らの胃にはちょっと刺激が強すぎたようである。

というわけで、今回は噂のタルバガンの“ボートク”の作り方をお教え致しましょう。




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手順1: 捕われたタルバガン。すでに“鼻血ブー”状態で他界している。遊牧民がライフルを使って撃ち殺したようだ。近寄ってみると、いかにもリス科らしい前歯をしていた。このタルバガンをボートクにして食べるというのだが、どんなふうに調理するのだろうか。

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手順2: 頭部を切断すると、焚き火で熱した石を何個か、首から入れる。高温になっている石は“グツグツ”、“ジュージュー”と、内部の肉を溶かすような激しい音を立てている。遊牧民はタルバガンを回しながら、内部に入っている石を器用に転がしていた。そうすることによって、まんべんなく肉が焼けるようだ。タルバガンの体から、モクモクと白い煙が出てきた。

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手順3: タルバガンのお腹の中に煙が立ち込めると、ガスがたまって“パーン”と破裂してしまう可能性がある。そこで、針金で閉じたタルバガンの首を何度か開き、煙を抜く。この作業は結構シビアなようで、遊牧民はかなり慎重に行っていた。

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手順4: 内部は焼けてきた感じだけど、外側は何も調理されていない。まさか、半生で食べるわけではないだろう。さて、どう調理するのか。毛がついたまま焼くのか…と質問しようとした矢先、遊牧民はオモムロに手でタルバガンの毛をむしり出した。両手で乱暴なほどにむしっていくと、毛は“あれよ、あれよ”という間になくなっていった。


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手順5: 乾燥した家畜の糞を燃やし、その上で1人が針金を使ってタルバガンを持つ。もう1人はガソリンバーナーでタルバガンの外側を焼く。バーナーの火が近すぎると、タルバガンの肉が破れて肉汁が出てしまうので、ここは2人の呼吸が合わないといけない。


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手順6: さぁ、出来上がりだ! ナイフでお腹を割くと美味しそうな肉が現れた。実際に食べてみると、胃がもたれるほどコテコテで脂ギッシュ。調理に使った石(お腹に入れた石:後方左上)は真っ黒になって、艶々している。石がまだ温かいうちに体の各部になすりつけると、病気になりにくいとか。